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                  貝原レディースクリニック
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 (社)日本産科婦人科学会産婦人科専門医

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初期の胎児像

妊娠初期の胎芽・胎児の正常発育経過
正常妊娠においては、妊娠が成立するとまず最初に子宮内に胎嚢と呼ばれる内部に羊水を含む袋が出現します。妊娠4週後半から妊娠5週にかけてはじめて胎嚢が出現しますが、この時点では胎芽は小さすぎるために描写できません。妊娠5週後半から妊娠6週になると胎嚢の成長とともに、内部に胎芽像がはじめて描写可能になり、胎芽心拍動も観察可能になります。しかし、胎芽の大きさは数ミリメーターであり、まだ頭部、体幹部の区別をつけることは出来ずにヒト外観を呈していません。
妊娠8週になるとなんとか頭部、体幹部の区別をつけることが出来るようになります。このようなヒト外観を呈した後を「胎児」とし、それ以前のヒト外観を示さない時期を「胎芽」と呼びます。すなわち妊娠8週未満は胎芽、妊娠8週以降を胎児と定義しています。
さらに妊娠9週以降になると頭部、体幹の区別だけでなく四肢の区別も可能となります。心拍動は勿論のこと、妊娠週数とともに胎児が活発に動いているのが観察可能になります。
この時期の胎児の大きさの計測法は、胎児頭部先端から臀部までの最長距離(わかりやすく言えば座高と考えて良い)を測定するのが一般的で頭殿長(CRL:Crown Rump Length)と呼ばれています。
妊娠初期には胎児の発育上の個体差はほとんどありません。この性質を利用して臨床的に「分娩予定日の決定」利用されています。すなわち、母体の大きな人も、小さな人も、太っている人も、痩せている人も誰でも妊娠初期の赤ちゃんの大きさはほぼ同じです。生まれる時の大きさが違うのは妊娠40週の間の発育速度が異なるためであり、妊娠初期の大きさは同じです。つまり、いきなり大きな赤ちゃんを妊娠したり、あるいは小さな赤ちゃんを妊娠することはありません。妊娠初期の赤ちゃんの大きさは誰でもほぼ同じ大きさです。すなわち赤ちゃんの大きさがわかれば妊娠週数(妊娠時期)が決定できることになり、さらには分娩予定日も決定できます。
月経(生理)や妊娠の仕組みに関しては「月経の仕組みと女性ホルモン」「妊娠の仕組み」を参照して下さい。
妊娠4週胎嚢の出現 妊娠4週5日(妊娠2ヶ月)
妊娠4週後半から妊娠5週にかけて、写真中央の子宮の中に黒い胎嚢がはじめて現れてきます。大きさは約3mm程度であり、内部に胎芽像は当然まだ確認出来ません。子宮内に胎嚢が確認されたということは、子宮内に妊娠していることを意味し、この段階で子宮外妊娠は否定されます。しかし、逆にこの時期に胎嚢が認められなくても、子宮外妊娠と断定できるわけではありません。
妊娠5週胎嚢の成長 妊娠5週3日(妊娠2ヶ月)
茄子のような形をした子宮の内部先端に黒い楕円形の胎嚢が確認できます。妊娠4週の胎嚢と比較すると、成長しているのが良くわかりますが、大きさはまだ10mmであり、胎芽像を確認できる時期ではありません。胎嚢の発育スピードは急速で、少なくても1日あたり1mmは成長します。しかし、胎嚢の最大径が40mm以上になっても胎芽、胎児が確認出来なれれば子宮内胎芽死亡と診断されます。
妊娠6週胎芽の出現 妊娠6週5日(妊娠2ヶ月)
妊娠5週と比較して、更に胎嚢が成長しその内部にはじめて胎芽像をなんとか確認出来るようになり、心拍動も確認できます。しかし、胎芽の大きさは約6mmであり、当然、頭部、体幹部の区別はつけられる段階ではなく、単なる小さなかたまりにすぎません。胎芽が確認出来ても、心拍動が確認できなければ異常です。
妊娠7週胎芽の成長 妊娠7週5日(妊娠2ヶ月)
胎芽は更に成長し、頭殿長(頭部先端からおしりまでの距離)は約11mmに成長し、なんとか頭部と体幹部の区別が可能ですが、四肢は全く認識出来ません。
妊娠8週・正常胎児像 妊娠8週3日(妊娠3ヶ月)
頭殿長(頭部先端からおしりまでの距離)は約18mmまでに成長し、頭部と体幹部の区別がつくだけでなく、四肢もなんとか認識出来ます。このように明らかにヒト形態を呈してくると胎児と呼ばれるようになります。また心拍動が確認出来るだけでなく、わずかに体を動かしているのが観察出来るようになります。
妊娠9週・正常胎児超音波像 妊娠9週3日(妊娠3ヶ月)
頭殿長(頭部先端からおしりまでの距離)は約24mmまでに成長し、頭部と体幹部の区別がつくだけでなく、四肢もなんとか認識出来ます。左の超音波画像は、体幹部の前方の四肢を描写しています。
妊娠10週・正常胎児像 妊娠10週2日(妊娠3ヶ月)
頭殿長(頭部先端からおしりまでの距離)は約38mmまでに成長し、頭部と体幹部の区別が極めて明瞭になってくる。妊娠8週、9週と比較して、胎児がしっかりしてきているのが良く分かります。この時期になると胎児の動きは非常に活発になります。頭部と体幹部の大きさはほとんど同じです。しかし、成長とともに頭部のしめる割合は少なくなります。といっても出生直後の赤ちゃんは4頭身です。
妊娠11週・正常胎児像 妊娠11週1日(妊娠3ヶ月)
頭殿長(頭部先端からおしりまでの距離)は約47mmまでに成長し、頭部と体幹部の区別が極めて明瞭になります。妊娠8週、9週と比較して、更に胎児がしっかりしてきているのが良く分かり、心拍動だけでなく、背骨、胃などの内部構造も観察出来ます。
妊娠12週・正常胎児超音波像 妊娠12週1日(妊娠4ヶ月)
頭殿長(頭部先端からおしりまでの距離)は約56mmまでに成長し、頭部と体幹部の区別が極めて明瞭になります。羊水中の胎動も激しくなり、手足を活発に動かしています。また背骨、胃などの内部構造もさらにはっきりと観察出来ます。まだ安定期ではありませんが、流産する可能性は少ない時期になりました。
妊娠13週・正常胎児超音波像 妊娠13週1日(妊娠4ヶ月)
頭殿長(頭部先端からおしりまでの距離)は約74mmまでに成長しています。妊娠初期は胎児が非常に小さいために経膣的に超音波検査を行います。しかし、胎児が成長すると経腹的に超音波検査を行います。すなわち内診台で超音波検査を行うのではなく、下腹部にゼリーを塗って経腹的におなかの上から超音波検査を行います。
妊娠14週:正常胎児像 妊娠14週1日(妊娠4ヶ月)
頭殿長(頭部先端からおしりまでの距離)は約83mmです。背骨がさらにしっかりしてきているのがわかります。
妊娠15週・正常胎児超音波像 妊娠15週0日(妊娠4ヶ月)
頭殿長(頭部先端からおしりまでの距離)は約88mmです。赤ちゃんの頭が下なっていますが、決して苦しいことはありません。胎動は活発であり、このまま長時間にわたって同じ姿勢でいることはありません。自由に動きまわっています。赤ちゃんの胎位は逆子(さかご)でも横位でもこの時期は正常です。妊娠7ヶ月いっぱいまでは気にする必要はありません。
妊娠16・正常胎児超音波像 妊娠16週0日(妊娠5ヶ月)
体を丸めて膝が顔の前にきていますが、赤ちゃんの体は非常に柔らかく、しばしばみられる姿勢です。頭殿長とは頭部先端からおしりまでの距離です。しかし、左の超音波写真でわかるように、体を丸めた時と背筋を伸ばした時では頭殿長が大きく異なってきます。すなわち赤ちゃんが大きくなると、頭殿長の測定意義がなくなります。妊娠16週以降はいわゆる安定期です。流産の可能性は非常に少なくなります。
妊娠20週:正常胎児超音波像 妊娠20週2日(妊娠6ヶ月)
赤ちゃんの児背が下になり上を向いているところです。妊娠20週になると赤ちゃんは大きくなり頭からおしりまでが一つの画面に入らなくなります。従って左の超音波写真は二つの画面を合成したものです。この時期になると、赤ちゃんの全体像を観察するというより、赤ちゃんの一部分一部分を観察するようになります。この時期になると経産のほとんどの妊婦さんが胎動を感じられるようになります。
妊娠22週:正常胎児超音波像 妊娠22週3日(妊娠6ヶ月)
赤ちゃんの児背が上になり下を向いているところです。妊娠20週の超音波写真と同様に左の超音波写真は二つの画面を合成したものです。赤ちゃんがさらに成長すると、二つの超音波画面を合成しても全体像は入りきれなくなります。この時期になると経産の妊婦さんはもちろんのこと初産の妊婦産でも胎動を感じられるようになります。
妊娠22週正常胎児 妊娠22週4日(妊娠6ヶ月)
赤ちゃんの児背が下になり上を向いているところです。この写真でも胎児の「はな」や「くち」なども識別できて顔面がしっかりしてきているのがわかります。この点については「胎児顔面」を参照して下さい。妊娠6ヶ月になると、おなかも目立つようになり、いわゆる妊婦さんらしくなります。
小さな魂達よ!健やかに育ってくれ―全ての父、母より