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 (社)日本産科婦人科学会産婦人科専門医

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性器クラミジア感染症
はじめに
性感染症は旧くて、新しい疾患です。また「性病は、人類が存在する限り絶えることはない。」とも指摘されてきました。従来の性感染症の代表は淋病や梅毒などでありましたが、抗生物質の登場によってこれらの疾患は治癒可能となってきました。しかし、残念ながら最近になり性器クラミジア感染症が世界的にみても、またわが国においても最も多い性感染症となっています。
クラミジア感染症は性感染症のうちで最も頻繁に認められ、淋菌感染症と比較し自覚症状がほとんどないために潜在化、蔓延傾向にあります。クラミジアは細菌に分類される小微生物ですが、その特徴はヒトや動物の細胞に寄生(偏性細胞寄生体)することによってのみ増殖が可能である点です。
クラミジアとは?
クラミジアの分類
クラミジアトラコマチス(Chlamydia trachomatis)が原因微生物となる疾患
(1)トラコーマ (2)封入体性結膜炎(新生児・小児・成人
(3)子宮頸管炎 (4)子宮内膜炎 (5)卵管炎
(6)付属器炎 (7)骨盤腹膜炎 (8)肝周囲炎
(9)非淋菌性尿道炎 (10)肺炎(新生児・乳児)
(11)副睾丸炎 (12)前立腺炎
(13)バイオタイプ:性病性リンパ肉芽腫―性病性リンパ肉芽腫症(第4性病)
クラミジア属は上の表のようにC.trachomatis 、C.pneumoniae 、C.psittaciおよびC.pecorumの4種より構成されている。C.pneumoniaeは肺炎や気管支炎の原因菌になるが、性感染症の主役はC.trachomatis(クラミジアトラコマチス)である。またC.pecorumはウシ、ヒツジの病原菌であって、ヒトへの感染の報告はない。
C.trachomatisは外膜の抗原性の違いによりさらに18の血清タイプに分類される。眼のトラコーマ流行地の患者から分離される株はA、B、C型が多く、尿路感染症から分離される株はD〜K型が多いと報告されている。
クラミジアは細菌に分類される小微生物(直径300〜1000nm)で、グラム陰性細菌に類似した微生物である。しかし、普通の細菌やウイルス、リケッチアとは異なる病原体である。クラミジアは不完全ながらも物質代謝系を有し、抗生物質に対する感受性を有する。またクラミジアはその細胞内に自身のエネルギー産生系を欠くためにヒトや動物の細胞内に寄生し分裂増殖する。いわゆる、偏性細胞寄生性の生物であることがクラミジアの特性の一つである。
もう一つの特徴は、その特有なライフサイクルである。クラミジアは細胞の食菌作用により宿主細胞に取り込まれ、この段階では感染性のある基本小体 elemental body (EB)と呼ばれる直径約300nmの小粒子である。これが細胞内で非感染性の増殖型粒子である網様体 reticurate body (RB) となり分裂増殖をし、再び基本小体(EB)に変化するという独特な増殖環をもっている。この増殖サイクルは2〜3日間であるとされている。